セントジョンズワートの育て方と活用

植物

この記事では、セントジョーンズワート(Hypericum perforatumの育て方や活用のヒントになる情報を解説します。

このハーブはメディカルハーブの中で最も研究されている植物の一つで、それほどまでにパワフルなハーブであります。今回はセントジョンズワートの魅力として、メディカルな側面も紹介しながらも、そのほか家庭や趣味でも楽しめるような活用のヒントなどもご紹介していきます。

茶乃木@花籠

某大学農学部で学び、今は100種類以上の植物を育ててます💐「花籠」にてハーブ苗を中心に生産したり、ハーブ・アロマ雑貨を制作し、委託販売させていただいてます🧺 webサイト「花籠別館」では、植物について、育て方から活用の方法、歴史、魔術的なパワーまで幅広く執筆更新中。月・木の更新を目指してます💪

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セントジョンズワートとは?

セントジョンズワート/セイヨウオトギリソウ(Common St. John’s wort[Hypericum perforatum])

生物分類:オトギリソウ科オトギリソウ属
育ち方:多年草
草丈:50~100cm
開花期:6〜8月
原産地:ヨーロッパ
主な用途:薬用・鑑賞・オイル・料理・ティー
使用部位:地上部(花・葉・茎)

セントジョンズワート(Hypericum perforatum)は、オトギリソウ科の多年草で、ヨーロッパが原産のハーブです。現在では気候の穏やかな地域でも見られます。

セントジョンズワートという名前の由来は、聖ヨハネの祝日(6月24日)頃に花が咲くことから来ました。オトギリソウ属には370種以上もあるため、区別するために、「コモン(common:一般的な)セントジョンズワート」「パーフォレイト(perforate:穴の開いた)セントジョンズワート」とも呼ばれています。

この植物の特徴は、葉に小さな穴が開いているように見える透明な油点があることです。これらの油点には、セントジョンズワートの有効成分が含まれています。この成分からセントジョンズワートは、古くから民間療法として様々な症状に使用されてきました。特に、精神的な不調や皮膚のトラブルに対して効果があると言われています。

現代では、サプリメントやハーブティーなどの形で広く利用されており、自然療法の中でも人気の高いハーブの一つとなっています。

セントジョンズワートについてと活用方法

歴史・名称の由来・人との関わり

セントジョンズワートは古くからキリスト教と深い関わりのあるハーブです。

“セントジョン”とは、キリストに洗礼を授けた洗礼者聖ヨハネのことです。“ワート”は古英語で「草」や「植物」を意味します。つまり、直訳すると「聖ヨハネの草」というわけなのですが、これはこの植物が聖ヨハネの誕生日とされる6月24日頃に花を咲かせることが由来になっています。ヨーロッパの伝統では、この日に摘んだセントジョンズワートには特別な力があると信じられています。 この時期の正午、太陽の力が最大になったときに収穫すると治癒力が最も強いといわれ、夏至祭にも使われていました。また花を絞ったときに出る赤みを帯びた汁が、ヘロデ王によって斬首されたヨハネの血にも例えられているようです。

また、フランス語の名前には「すべてを癒やす」という意味があり、十字軍の聖地エルサレムの戦場で傷の手当てに使われたそうです。16世紀ごろ中世ヨーロッパでは魔よけとされ、窓やドアにつるしておくと災害を免れるという言い伝えがありました。

そして19世紀になると、科学的なアプローチでの研究が進みました。特に、ドイツでは医療用植物として注目を集め、うつ病の治療に使われ始めます。 現代では、セントジョンズワートは世界中で使われています。特に欧米では、軽度から中程度のうつ症状に対する自然療法*として人気があります。日本でも、最近になって注目を集めています。(*もし治療目的での接種するのであれば必ず事前によく調べ、かかりつけの病院がある場合には必ずお医者様に相談してからにしましょう。)

精神的・身体的有用性

セントジョンズワートの有用性で現代最も有名なのは不安および軽度から中等度の抑うつの症状を緩和する作用でしょう。

抑うつは現代病というわけではなく、古代ギリシャ時代にも病気と認識されていました。古代の賢人であるヒポクラテスは抑うつの症状を「長期間つづく不安や落ち込み」と定義しています。そしてこの時代は、4種類の体液のバランスが乱れると、抑うつになると言じられていたようです。(4種類の体液は性格型を決定するとされた。多血質一楽観的で気苦労がない、粘液質一思慮深く忍耐強い、黒胆汁質一真面目でふさぎ込みがち、黄胆汁質一落ち着きがなく怒りっぽい)
そして古代ギリシャ人たちは、セントジョンズワートを抑うつの治療に用いました。

現代の科学的な研究でも、セントジョンズワートのエキス剤には、穏やかな抗うつ剤と似た作用があることが示唆されています。実際に欧米では、軽いうつ病の治療薬として広く使われているようです。日常生活に支障がなくても、長期の抑うつに悩む人には、セントジョンズワートがよく適応するでしょう。

また抑うつ以外にもセントジョンズワートには、このような効果も期待できるそうです。

  • 不安やストレスの軽減
  • 更年期症状の緩和
  • 傷の治癒促進
  • 炎症の抑制
  • 抗酸化作用

もちろん、個人差はありますし、重度の症状には医師の診断が必要です*。非常にパワフルなハーブですので、接種には十分にお気をつけください。
*繰り返しになりますが接種する際はご自身でよく調べ、かかりつけがある場合はそのお医者様によくご相談ください。当サイトでは一切の責任を負いません。

活用方法のアイデア

家庭でのセントジョンズワートの活用法には、さまざまなアイデアがあります。

セントジョンズワートの様々な活用方法
  • 葉や花をリキュールの香りづけに利用する
  • ドライにした葉をハーブティーにする
    • 睡眠の質の改善させるようなリラックス効果、落ち込みや不安感を和らげたりするのを期待して**
  • 花や葉を植物オイルに漬け込んで使う
    • 坐骨神経痛、捻挫、傷に利用できるそうです**
  • アルコールに漬け込んでチンキ剤にする
    • 痒み止めのためのスプレーを作り、利用できるようです**
  • 地上部を使って染め物作りを楽しむ
    • ピンク系、茶系、グレー系の光沢のある仕上がりになるそうです
  • 妊娠中、授乳中の使用は避けてください。乳感症作用を起こす場合があります。
  • 光感作を起こす場合があります。
  • 医薬品を服用している場合は使用しないでください。
チェック

**ティーなど食用にする場合や、オイルやスプレーなど肌に触れる楽しみ方をしたい場合は事前に正しい使用方法などを調べてから行いましょう。またもし治療目的での接種するのであれば必ず事前によく調べ、かかりつけの病院がある場合には必ずお医者様に相談してからにしましょう。
当サイトは効果を保証するものではありませんしその他一切の責任を負いません

セントジョンズワートの利用部位は地上部全体を利用できます。
ただし部位によって香りに差があり、葉はバルサム系(針葉樹のマツやモミなどの香り)が、花はレモンの香りがあります。利用用途に合わせてお好みで使い分けてみてくださいね。

セントジョンズワートの育て方

古くからハーブとして利用され、特に心の健康に良いとされてきたセントジョンズワートですが、育てるのは比較的簡単になります。生育旺盛で丈夫なので育てやすく、ガーデニング初心者の方でも、簡単に育てられる植物だと思います。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

セントジョンズワート/セイヨウオトギリソウ(Common St. John’s wort[Hypericum perforatum])栽培カレンダー

101112
種まき
植付け
株分
切戻20~3020~30花後花後
追肥お礼お礼
開花
収穫L,St*
収穫F**夏至◎
*Leaf=葉っぱ,Stem=茎 **Flower=花 *時期については地域差もありますので、あくまで目安になります。
種まき時期:9中〜10月(3〜4月)
植え付け時期:3〜4、10中〜11月
株分け適期:10月(4月)
開花時期:6〜8月
切り戻しと摘心:草丈20~30cmほどで先端を切り戻し。花後に半分くらい切り戻し。
追肥:控えめ。植え付け時に元肥があればほとんどいらない。お礼肥をあげるぐらいで。
収穫(葉):株がしっかり育っていれば随時収穫OK。
収穫(花):開花期。特に夏至がオススメ。
冬越し:◎。冬には地上部が何もなくなるが、春に芽吹く。

生育環境[基本の環境・冬越し・夏越し]

水やり

土壌環境

排水性の良い土を使用することが重要です。また乾燥した、ややアルカリ性の土壌を好みます。けれど、順応力は高いので、厳密に整えなくても大丈夫です。

植え付け

肥料

切り戻し

草丈が20センチから30センチぐらいになったら枝の先端を切り戻します。この切り戻しによって、脇芽が出てこんもりと見栄えが良くなります。
また花後に、草丈の半分ほどで切り戻してください。

収穫[地上部]

増やし方[株分け]

最後に

今回はセントジョンズワート/セイヨウオトギリソウ(Common St. John’s wort[Hypericum perforatum])の活用のヒントと育て方についてご紹介しました。

セントジョンズワートを紹介する上で「抗うつ」の作用は必ずと言っていいほどついてきます。それも古代ギリシャから使用され、現代でも科学的に有効であるとされているように、歴史にも科学的にも裏打ちされているまさにパワフルなハーブです。それほどであるからこそ特に、(何度も言いますが)薬効を求めて服用される場合は必ず注意してください。特にお薬を飲んでいる方は要注意。必ず専門家に相談してくださいね。

そんなセントジョンズワートも育てるのは比較的簡単です。ぜひ実際に植物を育て、身近に触れて、そのパワーを感じてみてくださいね。

また、セントジョンスワートについて質問や、実際に育ててみた感想などありましたらコメントください

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
素敵なハーバルライフを!

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