エルダーフラワーの育て方と特徴

植物

この記事では、 エルダーフラワー/セイヨウニワトコ(Elder[Sambucus nigura])の育て方と特徴について解説します。

管理人:茶乃木
管理人:茶乃木

日常で見かけるエルダーフラワーといえば、IKEAのドリンクバーにエルダーフラワーサイダーがありますのをご存知でしょうか?エルダーの花や実はマスカットのような香りや味わいを生かして、デザートや飲料としても利用されます。

また、ハリー・ポッターシリーズには「ニワトコの杖」が登場しますが、それはその「Elder Wands」を指しています。このように、エルダーには魔術的なパワーとの関連が深くあります。

今回はそんなエルダーについて、一緒に見ていきましょう!

茶乃木@花籠

某大学農学部で学び、今は100種類以上の植物を育ててます💐「花籠」にてハーブ苗を中心に生産したり、ハーブ・アロマ雑貨を制作し、委託販売させていただいてます🧺 webサイト「花籠別館」では、植物について、育て方から活用の方法、歴史、魔術的なパワーまで幅広く執筆更新中。月・木の更新を目指してます💪

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エルダーフラワーの基本データと特徴

エルダーフラワー/セイヨウニワトコ(Elder[Sambucus nigura])

生物分類:スイカズラ(レンプクソウ)科ニワトコ属
育ち方:落葉低木〜小高木
草丈:2〜10m
原産地:地中海沿岸、ヨーロッパ、アジア西部、アフリカ北部
主な用途:料理・ティー・殺虫剤・守護
使用部位:葉*、花、果実
* 花と熟した果実以外は、有毒な成分(青酸配糖体)を含むので内服してはいけません。

エルダーフラワーってどんな植物?

多くの薬効が知られ、庭木ともされる植物です。

ヨーロッパ、アジア西部、アフリカ北部原産の落葉低木あるいは小高木で、高さ2〜10mになります。薬効のある成分を多く含み、古くエジプト文明の時代から民間薬とされてきました。ヨーロッパでは「田舎の薬箱」と呼ばれ、木を丸ごと活用されてきた歴史があります。

半日陰でも育ち、やや湿り気のある場所を好みますが、多湿になると根腐れしやすいので注意しょう。

6〜7月に星型の薄黄色がかった白い子花を複散房花状につけます。秋に光沢のある果実が黒紫色に熟します。

守護を司ることで親しまれてきた木

守護を司る木

エルダーは、主にヨーロッパで古くから庭木として親しまれてきましたが、花の美しさだけではなく、その背景には「守護を司る木」として神秘的で特別な意味を持つことが関係していたようです。

「守護の力」の中でも特に、エルダーの木は「魔除け」の力があるとされ、悪霊や災厄を退けると信じられていました。例えば、家の近くにエルダーを植えることで、家族を守り、不幸を遠ざけるおまじないとされたようです。また、エルダーの枝は護符や杖としても使用されました。

ケルトやゲルマンの文化においては、家族や家を守る護り手として崇められていたとともに、「エルダーの木には精霊が宿る」と信じられていました。この木を切る際には、精霊に許しを請う祈りを捧げたとも伝えられています。

境界の木として

またエルダーは「境界線の木」とされ、家と外界を隔てる役割を担っていました。この木の存在が家族や土地を見守ると考えられ、村や家の入り口付近に植えられることが多かったそうです。

管理人:茶乃木
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ヨーロッパでは、「現世と霊界との境界」である「お墓」にも、変容をサポートしたり、守護の役割としてエルダーがよく植えられているそうです。また歴史的観点から、エルダーは「死」と関連づけられてもいて、「死」や「悲しみ」の象徴ともされています。

「守護」の力を生活に取り入れるアイデア

エルダーの守護の力は、庭木として育てる以外にも以下のアイデアがあります。

エルダーの「守護」の力を取り入れる
  • 魔除け、お守り:エルダーフラワーは古くから魔除けやお守りとしても用いられてきました。
    • 家の守り:エルダーフラワーの枝や花をドアや窓に吊るすと、悪いエネルギーや悪霊から家を守ると信じられています。
    • お守りの袋乾燥させたエルダーフラワーを小さな布袋に入れ、お守りとして持ち歩くことで、身を守るおまじないとされています。
    • 浄化の儀式:エルダーフラワーを使用した浄化の儀式もあります。花を焚いてその煙で空間を清めたり、心を落ち着かせるために用いられます

「田舎の薬箱」と呼ばれるハーブ

多くの薬効を持つ

エルダーは、内用にも外用にも利用されてきました。健康やリラックス、また虫除けとしても活躍するハーブとして知られています。

「田舎の薬箱」としてのエルダー
  • ティーとして:エルダーフラワーは、健康やリラックスをサポートするハーブティーとして人気があります。[果実・花]
    • 風邪やインフルエンザのケア:エルダーフラワーティーには発汗作用や抗炎症作用があり、風邪やインフルエンザ時に体温を下げ、症状を和らげる効果が期待されます。
    • 花粉症の緩和アレルギー症状を和らげるハーブとしても知られており、花粉症の季節にエルダーフラワーティーを飲むことで、鼻や喉の違和感を軽減すると言われています。
    • リラックス効果:独特の甘い香りはリラックス効果をもたらし、ストレス解消にも役立ちます。
  • 外用薬として:エルダーフラワーには抗炎症作用や抗酸化作用があり、スキンケアや軽い外傷のケアにも使用されます。
    • 化粧水:エルダーフラワーを煮出して作ったエキスを化粧水に加えることで、肌に潤いを与えます。穏やかな抗炎症作用により、ニキビや吹き出物の改善を期待できます。[花]
    • 湿布:葉を煮出した液体をガーゼや布に含ませ、炎症や腫れのある部分に湿布として使用します。 疲れ目や目の充血、しもやけや皮膚炎にも使われるそうです。[葉]
    • 日焼けのケア軽いやけどや日焼け後の肌に優しく、クールダウン効果があるため、日焼けのケアとしても利用されています。[葉]
  • 虫除け剤:エルダーフラワーの葉には殺虫成分を含んでいるため、殺虫剤として使われることがあります。[葉]
    • 虫除けスプレー:エルダーフラワーの葉を濃く煮出した液を殺虫用の散布剤に使用できます。特に、アブラムシやカメムシなどの小さな害虫に対して効果があるとされています。
    • 庭の保護:エルダーフラワーの枝や花を乾燥させて袋に入れ、庭や畑の植物の近くに吊るすことで、害虫が寄り付きにくくなると言われています。

花と熟した果実以外は、有毒な成分(青酸配糖体)を含むので内服してはいけません。

管理人:茶乃木
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外用として葉を煮出したものを紹介していますが、誤って飲まないようにしましょう。

その他エルダーの利用方法

デザートや飲み物などに

エルダーには、鑑賞・守護・薬箱として利用される以外にも、花や実のマスカットのような香りや味わいを生かして、デザートや飲料としても利用されます。

エルダーフラワーの香りや味わいを生かして
  • お料理に:エルダーフラワーは甘い香りと独特の風味があり、デザートや飲み物に活用されます。[果実・花]
    • エルダーフラワーシロップ:花を砂糖と水で煮詰めて作るシロップは、ソーダやカクテルに加えると爽やかな甘さを楽しむことができます。また、ヨーグルトやフルーツサラダのトッピングにも良いですよ。
    • ジャム、ゼリー
    • 花をフリッター
    • ワイン作りに:エルダーフラワーとエルダーベリーは、古くからワイン作りに利用されてきました。特に自家製のハーブワインとして親しまれています。ベリーは赤ワインに、フラワーは白ワインのような味わいになるそうです。
管理人:茶乃木
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熟したエルダーベリーは「英国人のブドウ」とも呼ばれているそうです。
ワイン作りにおいては、家庭で簡単に入手できる素材として用いられ、特に寒冷地ではブドウが育たない地域で代替の材料として人気だったとのこと。また中世ヨーロッパでは、エルダーは「魔除け」や「健康促進」の象徴ともされ、エルダーを使ったワインは儀式や祝い事にも使用されたそうです。

花と熟した果実以外は、有毒な成分(青酸配糖体)を含むので内服してはいけません。

魔法のツールとして[守護][変容]

エルダーは、魔女やシャーマンの儀式でも使われ、「守護」や「変容」のエネルギーを引き出すためのツールとしても扱われました。特にエルダーの木から作られた杖は、魔術師にとって強力な道具とされ、儀式で守護を求める際に使用されたと伝えられています。

また「変化を引き出す」だけではなく、「変容の時を守護する」植物としても扱われ、変化の時に心を落ち着かせて過ごせるように守護したり古いものを手放しやすくするよう、執着を解消するしたりするのを助けると信じられてきました。

またこの「変容」のパワーに転じて、「若返り」の力もあるとされてきたようです。

エルダーフラワーの育て方

エルダーフラワー/セイヨウニワトコ(Elder[Sambucus nigura])
栽培カレンダー

*時期については地域差もありますので、あくまで目安になります。
植え付け時期:3〜4、9〜10月
開花時期:5〜6月
剪定:休眠期に枯れ枝や樹形を乱す枝を剪定。風通しがよくなるように。
施肥:植え付け後3年ほどのみ。春と秋に緩効性肥料(油粕など)を。
収穫(花):開花期に花房ごと収穫する。
収穫(実):花後、実が黒紫色に熟してから収穫。

生育環境

エルダーは日当たりの良い場所〜半日陰で育てることができ、やや湿った場所を好みます。また、風通しの良い場所を選ぶと病害虫の発生を抑えられます。

またエルダーフラワーは寒さに強い植物ですが、極寒地では冬季に根元にマルチング(わらや落ち葉を敷く)をして保護するのが安心です。

水やり

土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。特に苗の段階や乾燥した時期には土が乾ききる前に水を与えましょう。地植えの場合、通常は雨水で十分ですが、長期間雨が降らない場合は水やりが必要になります。

ただし、水はけが悪いと根腐れの原因になるため注意が必要です。

また、休眠期(12〜2月)には成長が止まるため、水やりは控えめにします。ただし、極端に乾燥しすぎないよう、土が完全に乾燥する前に少量の水を与えましょう。

土壌環境

排水性の良く、栄養豊富な土壌が最適です。植え込み時に腐葉土や堆肥を混ぜ込むと良いでしょう。

植え付け

植え付けの適した時期は春(3〜4月)または秋(9〜10月)です。この時期は根が活発に成長するため、新しい環境に定着しやすくなります。気温が安定しているため、暑さや寒さによるストレスを避けることができます。

肥料

エルダーに追肥は基本的に必要ありませんが、植え付け後3年間ほどの生育初期には、株を育てるために追肥を行いましょう適期は春(3月)と秋(9月)の年2回です。緩効性肥料や堆肥を追加すると良いでしょう。ただし過剰な施肥は控えるようにします。

剪定

剪定の適期は冬の休眠期(12〜2月)です。古い枝や枯れた部分を切り戻し、風通しを良くすることで健康な成長を促します。樹形を整えるためにも適度な剪定が必要になります。

収穫[花・実]

花の収穫は5〜6月ごろの開花期が適期となります。花が完全に開いた時に花房ごとハサミで切り取って収穫します。花はすぐに利用するか乾燥させて保存ししょう。

果実の収穫は、花後、実が熟して黒紫色になったら適期となります。だいたい7〜9月ごろです。熟した果実は食用に適しますが、生の状態では有毒成分を含みますので、熟すまでしっかり待ちましょう。

最後に

今回はエルダーフラワー/セイヨウニワトコ(Elder[Sambucus nigura])についてご紹介しました。

エルダーについて質問や、実際に育ててみた感想などありましたら、気軽にコメントくださいね

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
素敵なハーバルライフを!

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