この記事では、エキナセア属(Echinacea)の育て方と、エキナセアの代表種であるエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の活用のヒントをお伝えします。
エキナセアにはたくさんの品種がありますが、その中での代表品種でありメディカルハーブの分野でも使用される種類は
- ムラサキバレンギク(パープルコーンフラワー)
学名:Echinacea purpurea(エキナセア・プルプレア) - オオバナバレンギク(ペールパープルコーンフラワー)
学名:Echinacea pallida(エキナセア・パリダ) - ホソババレンギク(ナローリーフコーンフラワー)
学名:Echinacea angustifolia(エキナセア・アングスティフォリア)
の3種です。
これらの中で、最も一般的に使用され、研究されているのは Echinacea purpurea(エキナセア・プルプレア)です。サプリメントや健康製品に使用されるエキナセアの多くは、このエキナセア・プルプレアから得られているようですよ。
今回はそんなエキナセアの代表品種である、エキナセア・プルプレアについて見ていきましょう。
エキナセア・プルプレアとは?
エキナセア・プルプレア/ムラサキバレンギク(Purple Coneflower[Echinacea purpurea])
生物分類:キク科ムラサキバレンギク属 |
育ち方:多年草(冬季落葉) |
草丈:60~120cm |
開花期:6月中旬〜8月 |
原産地:北アメリカ東部 |
主な用途:薬用・鑑賞・ティー・チンキ |
使用部位:葉・茎・花(・根*)*薬用として使う場合 |
エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)は、キク科の多年草で、北アメリカ東部が原産のハーブです。ハーブにはヨーロッパやアジア原産が多いが、エキナセア属はすべて北アメリカの東部と中部が原産地です。
夏から秋にかけて一茎一輪というように花をつけます。
花の中央部が筒のように盛り上がっているのが特徴で、この中央部を一重または二重の花びらが囲っています。花後、この中央部が棘の生えたウニのように見えることが、属名[Echinacea ]の由来となっています。(ギリシャ語「echinos」は「ウニ、ハリネズミ」を意味しています。)
ここ数十年で薬効が急速に注目し始められ、今では錠剤やエキス剤、チンキ剤やティーの形で一般に販売されています。
エキナセア・プルプレアについてと活用方法
歴史・人との関わり
エキナセアは、近年急速に注目され始めた植物ですが、原産地である北アメリカの先住民たちは、古く何世紀も前からエキナセアを風邪から重い病気にまで幅広く使用していたようです。北米に移り住んだ人々も、伝染病や歯痛、火傷、喉の痛みなどに使用したと言われでおり、まさに万能薬でした。
19世紀後半になると、エキナセアの評判は北米を越えて広がりました。特にドイツでは、医療用ハーブとして注目を集め、多くの研究が行われました。
最近では熱や喉頭痛など風邪やインフルエンザの諸症状を和らげるのに用いられます。また、メディカルハーブとして使うときは、根も地上部も使われるようです。風邪(とくに鼻風邪)のときにエキナセアをとると、免疫系の働きに効果があると言われてきました。
一方で、エキナセアの効果に疑問符をつける研究もあり、現在も研究が続いています。
活用方法のアイデア
医療分野で注目されるエキナセアですが、家庭でもエキナセアを楽しむことはできます。
エキナセア・プルプレアの利用部位は主に葉、茎、花ですが、メディカルな用途としては、根も利用するようです。
エキナセアの育て方
ここ数十年でその薬効が注目されるようになったエキナセアですが、花期が夏〜秋と長く、切花としても花もちも良いことから鑑賞としても人気があります。またその性質は、夏の暑さに強く病害虫にも強い堅強な性質ですので、ほとんど手がかからず、育てやすい植物です。
エキナセア(Coneflower[Echinacea])栽培カレンダー
1 | 3 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
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種まき | 下 | ○ | ○ | 下 | ○ | |||||||
植付け | ○ | ○ | ○ | |||||||||
株分 | ○ | ○ | ||||||||||
切戻 | 花がら | 花がら | 花がら | 切戻 | 切戻 | |||||||
追肥 | ○ | ○ | ○ | |||||||||
開花 | 中 | * | * | |||||||||
収穫L,St* | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
収穫F** | ○ | ○ | ○ | |||||||||
収穫R** | ○ | ○ |
種まき時期:3下〜5、9下〜10月 |
植え付け時期:4〜5、10月 |
株分け適期:春、秋 |
開花時期:6中〜8月 |
追肥:5〜6、10月ごろに月1~2回、化成肥料の置き肥を行うか、月4~5回、液体肥料を。 |
収穫(葉・茎):株がしっかり育っている株を選ぶ。 |
収穫(花):花が完全に咲いてから1、2日後。 |
収穫(根):地上部が枯れ始めた頃。 |
冬越し:◎。マルチング程度で○。 |
生育環境[基本の環境・冬越し・夏越し]
日当たり、風通しの良い場所を好みます。風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなります。
最適な成長温度は15~25度くらいです。
冬の間は地上部がなくなりますが、根は生きていますので春暖かくなってきたら新芽が出ます**。耐寒性は強いので特に対策は必要ではありません。エキナセアの場合、冬は防寒対策を過保護にするよりも、十分な寒さにあわせる方が良いようですので、防寒対策を行うのであれば、マルチング程度にとどめておきましょう。
冬期、枯れた地上部は刈り取っておきましょう。
夏の暑さにも冬の寒さにも強い植物です。
土壌環境
水はけが良く、適度に肥沃な土壌を好みます。エキナセアは丈夫な植物ですが、水はけの悪い湿った場所ではよく育ちません。
pH値は6.0〜7.0の微酸性〜中性が適しています。
植え付け
植え付けの適期は4~5、10月です。地植えにしたり、プランターや鉢に植え付けて管理することもできます。株間は30cmほど設けましょう。
種から育てた苗の場合、本葉が6〜7枚になれば植え付けすることができます。
肥料
追肥のタイミングは、5〜6月と10月ごろです。月1~2回、化成肥料の置き肥を行うか、月4~5回、液体肥料を与えましょう。
ただエキナセアは肥料の要求度がそれほど高くありませんので、過剰な施肥は避けるようにします。葉が濃い緑色になりすぎたら、肥料を控えめにします。
花がら摘み[開花期]と切り戻し[晩秋]
花がら摘みは、エキナセアの開花期間を延ばし、美しい姿を保つ重要な作業です。花びらが萎れ始めたら、すぐに行いましょう。花茎の付け根から、清潔な剪定ばさみで切り取ります。こうすることで次の花芽の成長を促し、長期間の開花を楽しめます。ただし種を採取したい場合は、一部の花を残しておくようにします。
秋の切り戻しについては、花が完全に終わった10月〜11月ごろに、花茎を地面から15〜20cm程度残して切り戻します。こうすることで冬越しの準備と、翌年の成長のためのエネルギー蓄積を助けます。
収穫[花・葉・茎・根]
エキナセアの活用部位は、品種によって異なるそうです。
本記事で主に紹介しているエキナセア・プルプレアの活用部位は葉・茎・花、そして根になります。
花の収穫適期と方法
花は、花が完全に開いてから1〜2日後が収穫に最適です。目安は、花びらが水平に開き、中心の円錐形の部分が鮮やかな色になった時になります。清潔なはさみを使用し、花茎の付け根から切り取りましょう。乾燥させやすいように、茎を長めにとるのも良いでしょう。
可能ならば朝露が乾いた後、晴れた日の午前中に収穫するのが理想的です。
乾燥させるときは、小束にして、風通しの良い日陰に逆さまに吊るしておきます。2〜3週間ほどで完全に乾燥します。
葉・茎の収穫適期と方法
葉や茎は、春から夏にかけて(5月〜8月頃)が収穫期になります。花が咲く前の若い葉が最も栄養価が高いとされていて、開花期に入ると、植物のエネルギーが花に集中するため、葉の品質が低下する可能性があるそうです。
エキナセアの葉を傷めずに収穫するために、収穫時には清潔な剪定ばさみを使用しましょう。しっかり育っている株を選び、茎の根元から3分の1程度の高さにある、健康で成熟した葉を選び、葉柄(葉と茎をつなぐ部分)の付け根から切り取ります。この際、一度に全ての葉を摘み取らず、植物の成長を妨げないよう注意します。収穫後は、残った茎から新しい葉が生えてくるので、植物の回復を待ってください。
葉や茎の乾燥させるときは、小さな束にして吊るすか、葉を一枚づつ広げて乾燥させます。風通しの良い日陰で1〜2週間ほど乾燥させましょう。完全に乾燥したら、葉がパリッとして簡単に砕ける状態になります。
根の収穫適期と方法
根は、秋季(10月〜11月頃)、地上部が枯れ始めた頃に収穫します。少なくとも3年以上育てた株から収穫しましょう。スコップなどを使って、根を傷つけないよう慎重に掘り起こします。土を軽く払い、水で洗い流して泥を落とします。
根の乾燥させる際は、まず根を細かく刻むか、スライスします。それを広げて天日干しか、食品乾燥機を使用して乾燥させます(40℃以下)。カリカリになるまで乾燥させてください(天日干しならば1〜2週間程度です)。
増やし方[株分け]
エキナセアはほとんど手がかからず、寿命の長い宿根草ですが、芽が混んできたり、生育が衰えるようなら、株分けや植え直しをします。大体3〜4年生の株になると株分が必要になります。
株分けの適期は春と秋の2回です。
株全体を掘り上げ、根株を2〜3つに分割します。各分割片に少なくとも2〜3本の芽がついているようにしてください。分割した株を新しい場所や鉢に植え付けたら、十分な水やりを行い、活着するまで管理します。
増やし方[種まき]
エキナセアは品種にもよりますが、種で増やすことができます。
種まきの時期
種まきの時期は春(3〜5月)または秋(9月中旬〜10月)になります。発芽適温は20〜25度です。
種まきの方法
発芽まで1〜3週間ほどかかります。この間、土が乾かないよう注意しましょう。
発芽後・間引き
発芽後、ポットまきの場合は、本葉が5~6枚になった頃に生育の良いものを残して1ポット1本になるように間引きます。間引く際は、残す株に影響ができるだけ出ないように、地際をハサミで切るようにします。
本葉が6〜7枚になれば植え付けることができます。
最後に
今回はエキナセア・プルプレア/ムラサキバレンギク(Purple Coneflower[Echinacea purpurea])の活用のヒントとエキナセア属[Echinacea]の育て方についてご紹介しました。
エキナセアはその見た目の存在感と美しさで鑑賞用として好まれるだけではなく、近年ではメディカルハーブとしても注目されるようになっていることをお伝えしました。もし薬効を求めて使用する場合、必ず事前によく調べたりするなど、注意してください。
エキナセアについて質問や、実際に育ててみた感想などありましたら、気軽にコメントくださいね。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
素敵なハーバルライフを!
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