この記事では、クラリセージ[Salvia sclarea]の育て方や特徴について、ガーデニングに取り入れる際のポイントも交えてご紹介します。
美しい紫色の花(包)と芳香豊かな葉を持つ、二年草(または多年草*)のハーブです。独特な芳香が特徴でリラックスを促し、メディカルアロマ・ハーブの分野で活躍しています。
*花後、夏の暑さに弱いので、特に温暖地では二年草として扱います
ガーデニングにおいては、シルバーがかった葉がガーデンのアクセントになり、高さも60cm~120cmほどの大型に成長するため、庭の雰囲気作りに大きく貢献してくれますよ。
クラリセージの基本データと特徴
クラリセージ/オニサルビア(Clary Sage[Salvia sclarea])
生物分類:シソ科サルビア属 |
育ち方:二年草(多年草*) |
草丈:60~120cm |
開花期:6月〜7月 |
原産地:ギリシャ、イタリア、北アフリカ |
花色:白色〜紫(日照条件による) |
別名:オニサルビア、マスカットセージ、ワイルドセージ |
存在感がありかつ美しい癒しのハーブ
クラリセージとは
クラリセージ[Salvia sclarea]は、シソ科の二年草で、ギリシャ、イタリア、北アフリカが原産のハーブです。紀元前から薬用や料理、香料として利用されてきました。
温かみのあるスパイシーでフレッシュな、樹脂香も含む香り
クラリセージの最大の特徴は、その独特な香りです。 温かみのあるスパイシーでフレッシュな香りで、少し樹脂香があります。その香りには、ストレス軽減やリラックス効果があるとされ、庭で過ごす時間をより癒やしの時間にしてくれます。
また、クラリセージの花や葉を摘み乾燥させハーブティーにしたり、ポプリなどハーブクラフトをして利用することで、リラックス効果を日常に取り入れることができます。
独特の花姿が美しい
クラリセージは、日照条件により、紫、ピンク、クリーム色から白など様々な色合いの花を持ち、それらの小さな花々が密集して咲くため、全体として豪華な印象も与えます。縦にすらりと伸びた花穂が風に揺れる姿が非常に美しく、素朴な雰囲気も併せ持ちます。
葉は大きく、シワがあって灰緑色〜少しシルバーがかっています。
花が咲いている間はもちろん、花後に残るシードヘッドも装飾的で、ドライフラワーとして楽しむことも可能です。このため、クラリセージはシーズンを通して様々な形でガーデニングに取り入れることができます。
クラリセージを使った庭づくり
この項目では、クラリセージの特徴を活かし、あなたのお庭をより魅力的な空間にするためのガーデニングデザインにヒントになるような情報をお伝えします。
ガーデンにおける香りの利点[忌避効果と蜜源植物]
忌避効果
クラリセージの香りは、特定の害虫を寄せ付けないとされています。特にアブラムシやカメムシなどの虫は、この独特の香りを嫌うため、クラリセージを庭に植えることで他の植物を害虫から守る「コンパニオンプランツ」としての役割を果たすそうです。
蜜源植物
さらに、クラリセージは花を咲かせる際に多くの蜜を分泌し、蝶や蜂などの有益な昆虫を引き寄せる効果もあります。これにより、庭の生態系を豊かにし、他の植物の受粉を促進する助けとなります。
クラリセージのガーデンデザインにおけるポイント[アクセント・立体感・ダイナミック]
草丈1メートル以上に成長することと、シルバーがかったリーフが、庭の中で目を引くアクセントになります。またボリュームのあるシルエットを持つため、他のハーブや花との組み合わせで庭に立体感を生み出すことができます。
例えば、低木系のラベンダーやタイム、横に広がるローズマリーなどと一緒に植えると、庭全体にバランスの取れたレイアウトを作ることができますよ。
また、バラやペラルゴニウムなどの草花と合わせることで、花の色合いや形のコントラストが生まれ、よりドラマティックな庭の景観を演出できます。クラリセージの柔らかな葉の質感と他の植物の硬い葉との対比を庭のデザインとして取り入れるのも面白いかもしれません。
クラリセージと相性の良いガーデンデザインタイプ
クラリセージを取り入れたガーデンデザインのアイデアをご紹介します。
その独特かつ美しい姿と芳香を活かし、庭全体の雰囲気を高めましょう。
- ハーブガーデン: ラベンダー、ローズマリーなど他のハーブと組み合わせ、香り豊かなハーブガーデンの中心に。色調や質感の違いを楽しめます。
- ボーダーガーデン: 背の高い植物として、手前に低草花を配置。紫の花がアクセントとなり、奥行きのある景観を作り出します。
- ナチュラルガーデン:クラリセージの素朴で雰囲気を生かして庭づくりを。緩やかな曲線を用いたレイアウトで、自然界を切り取ったような美しさを演出します。
- コテージガーデン: 野趣あふれるコテージガーデンの一員として。バラやデージーなどと混植すると、自然な雰囲気が増します。
- バタフライガーデン: チョウを呼ぶ他の植物(エキナセア、ジニアなど)と一緒に植えて、生き物が集まる庭に。
- アロマティックパス(香りを楽しむ小道): 歩道脇にクラリセージを植えると、通るたびに香りを楽しめます。踏みつけに強いタイムなどと組み合わせるのもおすすめです。
クラリセージの育て方
ここ数十年でその薬効が注目されるようになったエキナセアですが、花期が夏〜秋と長く、切花としても花もちも良いことから鑑賞としても人気があります。またその性質は、夏の暑さに強く病害虫にも強い堅強な性質ですので、ほとんど手がかからず、育てやすい植物です。
クラリセージ/オニサルビア(Clary Sage[Salvia sclarea])栽培カレンダー
1 | 3 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
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種まき | ○ | ○ | ○ | 中 | 中 | |||||||
植付け | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
切戻 | 花後 | 花後 | ||||||||||
施肥 | 植付 | 植付 | ||||||||||
開花 | * | * | ||||||||||
収穫L* | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
収穫F** | ○ | ○ |
種まき時期:9中〜10月中旬 |
植え付け時期:3〜4、10〜11月*** |
開花時期:6〜7月 |
施肥:植え付け時に。化成肥料ならば30g /1m^2 |
切り戻し(夏越し):暑さ対策として。開花後切り戻しをして風通しをよくする。ただし、温暖地では夏越しは厳しい。 |
収穫(花):花が咲く直前がもっとも香り高い。 |
収穫(葉):若い葉なら料理にも使えます。 |
冬越し:◎。霜よけの必要なし。 |
生育環境[基本の環境・冬越し・夏越し]
日当たり、風通しの良い場所を好みます。風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなります。
冬の寒さには強く、霜対策も要りません。ロゼット状のまま、冬を越します。もし防寒対策を施しなたいならば、株元に藁を敷くので十分です。
一方で夏の暑さには弱く、温暖地では夏越しは厳しいでしょう。
土壌環境
水はけの良い土壌を好みます。
クラリセージは耐乾性に優れているのですが、その分過湿には弱いです。ですので、水やりのしすぎには注意しましょう。
植え付け
植え付けの適期は3~4、10〜11月です。成長すると大型になりやすいので、株間は30cmは最低とっておきます。
種から育てた場合は、ポットの底に根が回ったら定植します。
肥料
施肥のタイミングは植え付け時で、量は緩効性の化成肥料を1平方メートルにつき30gです。
クラリセージは肥料の要求度がそれほど高くありませんので、追肥は要りません。
切り戻し[花後]
夏越しに挑戦する場合、花後に思い切って切り戻しをしましょう。高温多湿な日本において、特に花後の夏越しは厳しいのですが、切り戻しによって風通しが良くなり夏越しを成功させる可能性が上がります。
ただし、あまり期待はせず、秋まきの二年草として扱い、株を更新させることを念頭に入れておいた方が無難です。
収穫[花・葉]
クラリセージは葉や花を収穫して活用することができます。
花の収穫適期と方法
花が咲く直前が最も香りが強く、理想的な収穫時期です。朝露が乾いた後、清潔なはさみで茎ごと刈り取ります。
乾燥させる場合は、束ねて風通しの良い日陰で乾燥させましょう。これにより長期保存が可能になります。
葉の収穫適期と方法
葉は、春から夏にかけて(4月〜7月頃)が収穫期になります。
クラリセージを傷めずに収穫するために、収穫時には清潔な剪定ばさみを使用しましょう。しっかり育っている株を選びます。また収穫の際、一度に全ての葉を摘み取らず、植物の成長を妨げないよう注意します。
柔らかく若い葉なら、生で食べることもできます。成長した葉は苦くなりますので、生で食すのには不向きとなります。
乾燥させるときは、葉を一枚づつ広げて乾燥させます。風通しの良い日陰で1〜2週間ほど乾燥させましょう。完全に乾燥したら、葉がパリッとして簡単に砕ける状態になります。
増やし方[種まき]
クラリセージは挿し芽や種まきで増やすことができます。しかし、挿し芽は、クラリセージの夏越しが厳しい関係上、成功率は低くなります。
ですので、本記事では種まきの方法のみを取り上げてお伝えします。
種まきの時期
種まきの時期は9月中旬〜10月中旬と3〜5月になります。
種まきの方法
適切な環境下では、1~2週間程度で発芽が始まります。この間、土が乾かないよう注意しましょう。
発芽後・間引き
発芽後、ポットまきの場合は、本葉が2~3枚になった頃に1ポット1本にします。
そしてポットの底に根が回ってきたら、植え付け可能になります。大型になりますので、苗同士の間隔を30cm程度は空けるようにします。
最後に
今回はクラリセージ[Salvia sclarea]の育て方や特徴についてや、ガーデニングに取り入れる際のポイントについてご紹介しました。
クラリセージは、温かみのあるスパイシーでフレッシュな香りが魅力的であり、お庭の景観作りにおいても有用な植物です。
栽培管理の面では、花後の夏越しは厳しいものの秋まきの二年草だと割り切って考えると、水やりの頻度が少なく、追肥もなく育てられますので、低メンテナンスな庭づくりに最適となります。また、病害虫が付くにくく、冬の寒さには強いので、特別な冬越しのための作業は必要なく、管理が楽な植物です。
ぜひお庭に取り入れてみてくださいね。
よいハーバルライフを!
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