ワームウッドの育て方と特徴

植物

この記事では、 ワームウッド[Artemisia absinthium]の育て方と特徴について解説します。

管理人RouRou
管理人RouRou

ワームウッドといえば、薬草酒「アブサン」の原料として有名ですが、防虫作用や植物体そのものの美しさも魅力的です。香りも香水に使われるほど。
「アブサン」の物語を通してワームウッドの危険性も広まりましたが、きちんと定めらた許容量を守り、留意しながらワームウッドを楽しみましょう☘️

茶乃木@花籠

某大学農学部で学び、今は100種類以上の植物を育ててます💐「花籠」にてハーブ苗を中心に生産したり、ハーブ・アロマ雑貨を制作し、委託販売させていただいてます🧺 webサイト「花籠別館」では、植物について、育て方から活用の方法、歴史、魔術的なパワーまで幅広く執筆更新中。月・木の更新を目指してます💪

茶乃木@花籠をフォローする

ワームウッドの基本データと特徴

ワームウッド/ニガヨモギ(Common wormwood[Artemisia absinthium])

生物分類:キク科ヨモギ属
育ち方:多年草
草丈:60~120cm
原産地:ヨーロッパ
主な用途:防虫・駆虫・ティー
使用部位:地上部(葉・茎・花)

清らかな印象があり美しいハーブ

ワームウッドとは?

ワームウッド[Artemisia absinthium]は、ヨモギの仲間で生命力が強く、乾燥した土地や岩場などの環境でもしっかりと根を張る、たくましいハーブです。キク科の多年草で、ヨーロッパが原産になります。

銀白色の葉が景観を彩る

ワームウッドとの特徴であり魅力の1つは、切れ込みの入った美しい銀灰色の葉でしょう。この独特の色合いは、他の緑の植物と絶妙なコントラストを生み出し、庭全体に洗練された雰囲気をもたらします。

この独特の色味をもつ葉と、ヨモギ属ならではの強健さ=育てやすさが評価され、景観植物として人気があります

自生地では岩が多くある傾斜面でも育つことから、ロックガーデンや地中海風の庭園にも相性が良いでしょう。

高さは60〜120cm程度に成長し、初夏〜夏に繊細な黄色い花を咲かせます。

虫除けにもなる香り

ワームウッドの強い香りは害虫を寄せ付けにくくする効果があり、自然な虫除けとして機能します。これにより、ワームウッド周辺の植物を守る役割も果たします。(コンパニオンプランツ)

また、ワームウッドを収穫したものを使って、園芸用の虫除けスプレーを作ることもできます。虫除けの力を生活の中でに使いたいのであれば、乾燥させたワームウッドを使ったサシェを作るのも良いでしょう。

アレロパシーについて:ワームウッドは虫を遠ざける効果からコンパニオンプランツとして重宝できる一方で、根からアレロパシー(他感作用)を持つ物質を分泌することがあります一部の植物の生育を阻害する可能性があるため、植える場所には注意してください。

管理人RouRou
管理人RouRou

ワームウッドの香りを言語化するなら、シダーリーフの香りに似て刺激が強く、青臭さと少しの甘さがあるような香りです。乾燥させた葉や花から水蒸気蒸留法で抽出した精油は、男性の香水のトップノートとしてブレンドされるそうですよ。

強い苦味と香りがもたらす力

古代より重宝された苦味のハーブ

ワームウッドは、歴史的には、古代エジプトやギリシャ、ローマ時代から重宝されており、薬用から料理の風味づけまで、様々な目的で使用されてきました

味は苦く、この苦さは、エデンの園から追放された蛇が通った後に生えた草だからと言う伝説があるほどです。

私たちの生活の中でワームウッドを味わいたいのであれば、ハーブティーが良いかと思いますが、注意点があります。ワームウッドの歴史を踏まえてお伝えしましょう。

摂取に注意が必要なハーブとして

ワームウッドで有名なのが、「アブサン」というリキュールにまつわる話でしょう。

特にワームウッドの香りと苦味は、アルコールと相性がよく、中世ヨーロッパでは、その苦みを利用してビールの風味付けに使われたこともあります。また、19世紀にはアニス風味のフランスのリキュールで「アブサン」という強い酒の原料としても、ワームウッドは有名になりました。今では200以上の銘柄が流通するようになっているそうです。

ただし、「アブサン」は、一時の多くの国で飲用が禁止されていた歴史を持ちます。ワームウッドに含まれる成分「ツヨン」の作用が発作や幻覚を誘発することがわかったのです。この後、さらに研究は進み、「ツヨン」は許容量内であれば問題ないとして、1981年にWHOが「ツヨン」の許容量を定め、解禁されました

現在、生産されている「アブサン」は、この許容量に見合うようにレシピを改良して生産されたものになります。

このような歴史からわかるように、ワームウッドを何らかの形で飲用など摂取する際には、大量に摂取しないように注意が必要です。

その他、ワームウッドを活用する際の注意点は以下のようになります。

  • 妊娠中、授乳中の使用は避けてください。子どもへの使用も避けます。
  • 多量に使用すると痙攣、不安感、吐き気などを起こす場合があるので、多量の使用はしないでください。
    • 内服する場合、ティーは1日に2〜3杯に留め、乾燥させた茶葉は0.5グラム以上使用しないようにしましょう。
  • 医薬品を服用している場合は使用しないでください。
チェック

ワームウッドを用いる際は、細心の注意を払います。事前にかりつけの病院がある場合には必ずお医者様に相談することはもちろん、ごく短期間だけ少量を使用するに留めます
また当サイトは効果を保証するものではありませんしその他一切の責任を負いません

ワームウッドの育て方

ワームウッド/ニガヨモギ(Common wormwood[Artemisia absinthium])
栽培カレンダー

*時期については地域差もありますので、あくまで目安になります。
種まき時期:3下〜4上、9中〜10上
株分け適期:4〜5、9中〜11上月
植え付け時期:4中〜5上、9中〜10上
開花時期:6〜9月
切り戻し(春):細い茎が伸びていたり、繁殖しすぎていたら、30cmほど剪定。
切り戻し(梅雨前):梅雨など長雨の時期は、刈り込んで風通しを良くする。
追肥:特に必要なし
収穫(葉・茎・花):開花直前が最も香りが良い。

生育環境

水やり

土の表面が乾いたらたっぷりと水を与え、鉢底から水が流れ出るまでしっかりと浸透させます。ただし、過湿は根腐れの原因となるので注意が必要です。特にワームウッドは乾燥した場所を好むので、水やりをやり過ぎないようにしましょう。

地植えにした場合は、水やりは不要です。

土壌環境

排水性の良い土を使用しましょう。また乾いた土壌でも育てることができます。

肥沃で、重くも軽くもなく、窒素を多く含む土壌を好みますが、窒素分が多いと茎葉はよく茂りますが芳香が弱くなります。

植え付け

植え付けの適期は春(4月中旬〜5月上旬)または秋(9月中旬〜10月上旬)です。

株間は45〜60cmほどとっておきます。

肥料

基本的に追肥は不要です。

ただあまり生育が良くない場合に、肥料を、特に窒素分の多い肥料を与えると茎葉はよく茂ります。しかし、芳香が弱くなってしまいますので、香りの強いものを望むのであれば、窒素分の肥料を与え過ぎないようにしましょう

切り戻し[春・梅雨前]

春の切り戻し

春に、細い茎が伸びていたり繁殖しすぎていたら、30cmほど剪定します。

梅雨前の切り戻し

高温多湿の時期は、刈り込んで風通しを良くしましょう。株がよく茂ると風通しが悪くなって株が蒸れて葉が枯れることがあります。

刈り取った茎葉は他の植物の株元などに敷いておくと防虫効果を期待できます。

収穫[葉・茎・花]

開花以降は収穫には向きません。
6〜9月の範囲内でも、開花以降は収穫はせず、景観植物として楽しみましょう。

乾燥方法

増やし方[株分け]

株全体を掘り上げ、根株を2〜3つに分割します。各株に十分な根と3〜5本の茎がつくようにしてください。また、古くなった中心部は避け、外側の若い部分を選ぶようにします。

分割した株を新しい場所や鉢に植え付けたら、十分な水やりを行い、活着するまで管理します。植え付けから2週間後に薄めの液体肥料を与えましょう

種まきの時期・方法

種まきの手順
  1. 種まき用の培養土をポット、またはプランターに充填します。
  2. 種を蒔きます。ポットまきならば、1ポット3〜5粒になるように種をまきます。
    • この時、種が重ならないように気をつけましょう
  3. 光発芽種子のため、覆土は必要ありません。表面に置くだけで十分です。
  4. 優しく水やりするので種まき完了です。

発芽後・間引き

発芽後、ポットまきの場合は、本葉が2~3枚になった頃に1ポット1本にします。
プランターであれば、株間10cmほどになるように間引きましょう。

本葉の枚数が7〜8枚になったら、植え付け可能になります。

最後に

今回はワームウッド/ニガヨモギ(Common wormwood[Artemisia absinthium])の特徴と育て方についてご紹介しました。

ワームウッドについて質問や、実際に育ててみた感想などありましたら、気軽にコメントくださいね

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
素敵なハーバルライフを!

コメント

タイトルとURLをコピーしました